太刀国 5.5インチ
今回は、いいハサミです。
作られた方がお亡くなりになったそうです。
お店にきた他の方に研いでもらったら・・・
「ちょっと違うハサミになった・・・」そうです。
ご縁あって研がさせて頂きました。
太刀国 5.5インチを研ぎました
ハサミDATA
【ハンドル】ラクダオフセット
【刃】
動刃・・・はまぐり刃 柳刃
静刃・・・剣刃 柳刃
【ネジ】
埋め込みタイプ
はさみ職人's EYE
裏側には「鋏職人 重野」とあります。
品川の方で、この重野さんが亡くなられ、たまたまお店にいらしたはさみ屋さんに出したところ・・・
悲しい感じで戻ってきたそうです。
よくある話しですね。
見た瞬間、とても身近に感じました。
一見どのハサミも同じように見えますが、私たち職人がハサミをよく見ると、それぞれの特徴がはっきりとわかります。
そこで、このハサミは「◯◯系」みたいことがわかります。
で。私の師匠に聞いたら、関係のある方のハサミでした。
この重野さんは、二代目だったそうです。
先代は、品川でハサミの鋼の鍛冶屋さんをされていたそうです。
鍛冶屋さんというのは、鉄を真っ赤にして、ハンマーでキンコンカンコンと叩く・・・アレです。
それもかなり腕のいい仕事で、他社を圧倒した品質のものを作っていたそうです。
その後時代は、ステンレスのハサミになります。
正確には、ステンレス鋼っていうやつで、錆びない鋼で、今のハサミの99%はこれです。
よくコバルト合金とか、数字とか英語とかの鋼は、ステンレス鋼のうちの1品種とお考えください。
ということで、
優秀なハサミ鍛冶屋さんだったのですが、ステンレス化という時代の波に押され、2代目はハサミ屋になり、品川から横浜を中心にご活躍されたそうです。
2013年夏。永眠されました。後輩鋏職人として、心よりご冥福をお祈りします。
ちなみに、
先日、「どこに出しても、断れれるハサミ」を研がさせて頂きました。
「このハサミがないと仕事にならないから、研いでもらえるだけで感謝」とおっしゃっていました。
で。その方から
「長生きして下さい」と言われました。
年齢を聞かれ答えたら、私の方が年下でした。
あと50年くらいは、生きるつもりです。ご安心を。
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