こんにちは。
京都はさみ職人オオタトシカズです。
理美容のハサミって、
スゴイ硬いんですけど、
どのくらい硬いか知ってます~?
鉄を切れるくらい硬いです。
うちの近所にホームセンターコーナン亀岡大井店があります。
だからどうした?って話ですが(笑)
そこに行くと、電気工具の棚付近に「鉄に穴をあけるドリル」があります。
このドリルを手にとって材料を見ると、ハイス鋼とあります。
このハイス鋼と同等もしくはそれ以上硬いのが、ハサミの材料です。
今回は「カットシザー選び 鋼材(こうざい)編」です。
鋼の材料ということで、鋼材(こうざい)と呼びます。
つまり、
理美容のハサミって、か・な・り 硬いです。
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■ 鋼材の種類
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ハサミの鋼材にはいろいろありますが、大きく分けて4種類です。
誤解を恐れず、わかりやすさを優先させ、
軽く歴史を振り返ってみます。
古い順番に、
-1.石
マイナス1は、石です(笑) 大昔の話です。
0.鉄
そして鉄。これも昔の話ですね。
(この石と鉄は番外編ということで、本編に入りますね。)
1.鋼(はがね)
かなりベテランの方が持っているハサミです。
「おばあちゃんが、これはいいハサミだと言われて買ったハサミだから、あなたも使えるわよ」
というハサミですね。
今は売られていないと思います。
今のハサミと違い、サビやすいです。
実はすごくよく切れます!
ですが、すぐ切れなくなります。(10人持てばいいとか、そういうレベルです)
2.ステンレス鋼
省略してステンレスと言いますが、正確にはステンレス鋼(ステンレスコウ)です。
ステンレス化させた鋼です。
SUS・・・
440C・・
とか表示されているものです。
昔の鋼というのは、すぐ錆びました。
ほんと、すぐ錆びたようで、放っておいたら2.3日で錆びたそうです。
ハサミにとって、サビは大敵です。
錆びたら使い物になりません。
ステンレスというのは、錆びないという意味です。
当時は、錆びないというだけで、すごく良いハサミでした。
とはいえ、水にずっと漬けていれば、錆びます。
3.コバルト系ステンレス鋼
省略してコバルトと言いますが、正確にはコバルト含有のステンレス鋼です。
・○○コバルト
・コバルト○○
・V金10○
・A○○
・粉末○○
・スーパー○○
・微粒子○○
・パウダー○○
いろいろあります。
現在のメインの材料です。コバルトが混ざったステンレス鋼です。
コバルトや他のいろいろな鉱物の合金ですね。
ステンレス鋼も合金ですが、コバルトが入っていることで、永切れするようになったと感じます。
実際永切れもすると思います
4.ステライト
wikiによると、コバルトを主成分とし30%程度のクロム、4~15%のタングステンなどからなる合金に使用されるデロロステライトグループ(Deloro Stellite Group)の商標である。だって。
・○コバルト
・コバルト
・ステライト
3のコバルト系ステンレスと混同しやすいです。
その特徴は、「コバルトが100%」とか「コバルトが50%以上とか」「さびない」「磁石につかない」「非磁性」とか
です。
この材料は、最高にいいものだ!と誇大宣伝するところがありましたが、一概には言えません。好みです。
ハサミの材料の特徴としては、開閉感が微妙にねっとりします。(5.5インチ以下なら全く気にならないと思う)
長切れすると言われるけど、使い方や研ぎ方次第です。
研ぐ身として、ハサミそれぞれの個体差、クセが強いです。イイ感じのものはいいんですが、それでないものは、残念です。
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で!どれがいいのか?
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1.鋼
これがいい!と言っても、今製造しているハサミはないと思います。
恐らく問屋さんの倉庫にもないと思います。
運が良ければ、おじいちゃん、おばあちゃんが持っていると思います。
特徴は、
切れ味としては、すごくいいです!
研ぎたてのいい状態でしたら、とてもいいハサミかと思います。
ただし、すぐ切れなくなります。
包丁などには、良い材料だとは思いますが、ハサミには不向きかと思います。
ちなみに日本刀の材質を使ってハサミを作ったとします。
たぶん、よく切れると思います。
が、すぐ切れなくなりと思います。
2.ステンレス(鋼)
この材料のハサミも少ないです。
アジア周辺国(例えば中国製など)は、この材料です。
また、30年以上前からあるハサミもこの可能性が高いです。
コバルト系に比べると、切れなくなるのが早いです。
とはいえ、1.の鋼と比べると格段に永切れします。
柔らかめが多いので、ドライの硬い毛には不向きです。
比較的安いハサミがコレです。
もし、安いことがいいとしたら、いい鋼材です。
3.コバルト系
現代のハサミのメインです。
恐らく9割はこの材料です。
「ステンレス」のように錆びません。
「ステンレス」より、永切れします。
各社各用に細かくいろいろな名前が付いています。
違いもそれぞれ微妙に違うと思います。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑これポイントです。
ハサミとしての違いは、ホント微妙なんです。
一時期流行った、積層の模様があるのもコレです。
金色にメッキしてあるのも、剥がしてみるとこれのことが多いです。
いいか、わるいかというと、いいと思います。
というか、
大きなくくりで言うと、みんなコレですと言っても、いいと思います。
4.ステライト
切った感じがコツコツ・・・・と切れます。
ただ、これも厳密に言うとそんな感じがする気がしないでもないけど・・・
という世界です。
どちらかというと、永切れが得意な鋼材です。
“ハサミにうるさいハサミ屋さん” が、ステライトだから良いハサミというひとがいます。
そう単純な話でもないと思います。
この材料は研ぐのが難しいとされています。
永切れが得意なタイプですが、下手くそな研ぎだとすぐきれなくなります。
上手に研いでくれるひとがいれば、この鋼材は選んでもいいと思いますが、そうでない場合は避けたほうが無難です。
上手な方が研いだとして、
3のコバルト系と比べて、少し切れ味が甘めで、少し永切れします。
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まとめ
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鋼がよければ、すべてイイと思っている人が多いです。
実際はそうでもないです。
多くのハサミを使っている人や研いでいる人は、意外と鋼では変わらないという人が多いんじゃないでしょうか。
とはいえ、少しでもよいもの、どうせ高価なものだから、よりいいものがいいですね。