こんにちは。オオタです。
実は、ハサミについての講義動画を作ることになりました。
その打合せをしていまして、、、
そんなカメラの前で上手に話す自信はなく・・・
まあ、、、、
ウダウダになりそうです。
が、その辺は「編集」という強い武器があるので、彼らに任せようと思っています。
今日の日記では、紙面シュミレーションと言うことで・・・
ハサミについて基礎知識編ということで、お話させて頂きます。
みなさん。
こんにちは。
ハサミのお兄ちゃんだよ!
名前はオオタトシカズ。
トシおにいちゃんって呼んでね!
はさみのおにいちゃんでもいいよ!
(爆笑の声を入れる)
自己紹介おねがします。
京都でハサミの職人をやっております。
もうかれこれ、独立して20年が経ちましてた。
ハサミを研ぎは、年間2-3000丁くらい(仮)研いで・・・・。研ぎ代が3000円だとすると、年間1000万円くらいですかね・・・20年なら、2億円ですか・・・・
っていう話をすると、僕の年収とか想像つくし、、、何よりイヤラシイので言いません(口チャック!)
(ここは、ブーイング音を)
インターネットのおかげで、全国のお客様とご縁を頂いております。お客様には、日本を出られて世界で活躍している方もいらしゃるので、間接的に世界の方々とご縁を頂いております。
世界と言うと、どの辺の地域が多いんですか?
ホントに世界中で、北はロシアはいないですけど、カナダとか・・ヨーロッパはドイツとかになるんでしょうか。
南は南半球ですね。
オーストラリアとかニュージーランドとかです。
ホンマに、日本人、活躍されていて、同じ日本人として誇らしいです!
では、ハサミの講義おねがします。
まずは、ハサミのそれぞれの名称からいいでしょうか。
はい。
これが動刃です。そして静刃があります。
ご存じだとは思いますが、プロのハサミの使い方は、動刃を動かして、静刃は動かさないんです!
何でか、わかりますか?
そこの、元乃木坂46の白石麻衣さん!
(白石さんになりきって)よくわかりません。それの方がいいって習いました。
うん。はい。正解!完璧です!
そういうものなんです。
(爆笑の声を入れる)
白石さんの補足説明をすると、ですね。大体3つ理由があります。
ひとつは、
切るところを狙える!です。
包丁とまな板の関係のように、片方は動かない方が切る的を絞りやすいからです。
なので静刃は、まな板のようにじっとしてもらって、動刃は包丁のように動かします。
もうひとつは、
毛を逃げないように切るため。
両方とも刃を動かすと、、、昔の床屋さんでは「(口がパクパクしてる)きんぎょバサミになってる」と怒られたようです。
金魚ばさみだと、毛が滑ってきちんと切れないです。
試しにやってみて!
オオタさん長くなりそうなので、次に行ってください。
はい。ここはハンドル。
指を入れて、持つところですね。
一般の方は親指と中指を指穴に入れますけど、プロの皆さんは親指と薬指ですね。
この間にあるゴム。
これをヒットポイントと言います。
日本語だと、「当たるところ」ですね。
なんか、普通過ぎてがっかり・・・
オオタさん、もう少し、なんか追加の話、ないんですか?
ありますけど、、、、どんどんディープになりますよ。
いいんですね!
いいんです。
はい。そういうことなら、深くお話しします。
ヒットポイント、これがないとどうなるでしょうか?
取れてしまった場合などです。
実際にハサミを目の前にすると、わかりやすいです。
この場合、刃と刃の重なりが深くなりすぎて、反対側から刃が出てしまうようになります。
そうすると、キケン!
毛を切るけど、手を切るし、肌も傷めてしまいます。
なので、近くの良さそうなゴムを見つけて、自作ヒットポイントをとりつけるとします。
そうすると、逆に刃と刃の重なりが浅すぎて、刃先が閉じ切らないという状態になることがあります。
パッと見た感じは問題なくても、よく見ると閉じ切っていないようなハサミは実際にあります。
こうなっていると、
刃先だけ、切れない!とか
研ぎに出したら、刃先1ミリだけ、切れないとか・・・意外と多いです。
経験が浅い研ぎ屋さんにだすとこうなることがあります。
へぇ。詳しいですね。
他にもあるんですか?ヒットポイントの話。
はい。詳しいですよ。ベテランですからね。
このヒットポイントには、ゴムだけではなく、金属のものもあります。
金属だと、開閉のたびにカチカチします。
うるさいと思いますか?
それは、人それぞれなので、うるさいと感じる人もいるかもしれませんし、カチカチのリズムが心地いいという方もいます。
なので、
わざわざ、ヒットポイントを金属にして「俺はハサミでカチカチのリズムを作り、世界を音楽にしたいんだ~」と言う方もいます。
ホントはいなんでしょ。
バレました!
(笑い声。大爆笑がいいです)
世界を音楽にしたい人はいませんでしたが、金属ヒットポイントにする方は少なくないです。
へぇ。詳しいですね。
他にもあるんですか?ヒットポイントの話。
おっと、挑戦ですね。
金属のヒットポイントにすると、音がでるというのが特長です。
逆に悪い面もあります。
それはネジ穴が大きくなるという点です。
そもそもヒットポイントの役割とは、ゴムにすることで衝撃を吸収するという役割があるんです。
ゴムから金属にしたことで、衝撃を吸収できなくなってしまうということになってしまいます。
衝撃は、ネジ穴で吸収しきれず、穴が広がってしまうということになります。
穴が広がってしまうと、開閉に違和感が出てきます。またハサミを閉じ切っても刃先が開いたままだったり、逆に閉じすぎて逆に刃が出てしまったりします。
そうなってしまったら、もう治せません。
へぇ。詳しいですね。
他にもあるんですか?ヒットポイントの話。
おっと・・・
そんな話、なんぼでもありますよ。
一見、同じようなヒットポイントですが、圧入タイプとネジタイプがあります。
どちらがいいとか、悪いとかは無くて、、、
始めは、
古代ローマ時代ですね。
このときのヒットポイントはゴムでした!
そうですよね。長澤くん!
(長澤まさみのお面をかぶった人が登場)
ローマ時代だと、古すぎてわかんないじゃないですかぁ。
ゴムをつける技術とか、なさそうだけど・・・
そうですね。正解!
昔のハサミのヒットポイントはゴムがなかったんです。
たぶん、昭和の初めまでなかったんじゃないですかね。
たぶん、長澤さんが生まれた頃じゃないですか。ゴムがついたのは最近の話ですよ。
まあ、少なくても100年は、たっていないと思います。
ヒットポイントのところに穴があって、そこに細長いゴムを差し込む(圧入)して取り付けられています。
その後、ねじタイプが世に出てきます。
なんでか、わかるかな?
ファーストサマーウイカさん!
(ファーストサマーウイカのお面をかぶった人の登場)
それ、しっとる。PL法と関係あるんちゃいます?
え~。なんか当たり!
なんか、大阪らしく、いいボケを期待したのに残念だなあ・・
実はボケだったんですけど、当たってしまったか・・・
PL法とは、使う人が困らないようにちゃんと製造してね。という法律です。
アメリカで
濡れた猫を乾かそうとして、電子レンジに入れて、チンしたら死んでしまった!
と言う事故がありました。
常識で、それは使い方がまずいということです。
しかし、当時のPL法のあるアメリカでは、「電子レンジメーカーはそんな注意書きをしていない」ということで、製造した電子レンジメーカーが悪いということになりました。
この話を聞いて、日本にもPL法ができるということで、ピリピリしたことがありました。
これをハサミのヒットポイントにあわせると・・
たまたまヒットポイントが取れてしまった。
刃の重なりが深すぎて、指を切ってしまった。
ハサミを作った人がわるい!
どうしてくれるんだ。
カネよこせ!
となってしまいます。
で。
取れにくいヒットポイント、、、取れないヒットポイント・・・と考えて出てきた答えが、
ネジ式のヒットポイントだったんです。
ネジだから、普通に使っても取れないし、回さないと取れないし、、
そんなことで
ねじタイプが生まれたそうです。
実際、
ネジタイプでも取れることはあるし・・・
ヒットポイントがないハサミで怪我して、トラブルになったという話も聞きません。
ハサミの場合は、電子レンジの猫とは違うんでしょうね。
へぇ。詳しいですね。
他にもあるんですか?ヒットポイントの話。
え。まだ・・・
アナタ、かなり、Sですね!
行きますか。エンドレスになるんで、最後は簡単に。
ヒットポイントの取り付けに穴が開いているという話をしました。
この穴、サイズがあります。
日本にあるハサミの大半は2種類の大きさです。
大半と言うと、97.8%はそうだと思います。
なので、仮に取れてしまっても、代用品で、何とか修理できます。
残り2.3%ありますが、それも大体決まってますので、99.9%修理可能かと思います。
こういうこともあるので、なじみのハサミ屋さんを持っておくといいですね。