刈り込み鋏選び3(鋼材)
2021.5.25 14:43
こんにちは。
京都はさみ職人オオタトシカズです。
理美容のハサミって、
スゴイ硬いんですけど、
どのくらい硬いか知ってます~?
鉄を切れるくらい硬いです。
うちの近所にホームセンターコーナン亀岡大井店があります。
だからどうした?って話ですが(笑)
そこに行くと、電気工具の棚付近に「鉄に穴をあけるドリル」があります。
このドリルを手にとって材料を見ると、ハイス鋼とあります。
このハイス鋼と同等もしくはそれ以上硬いのが、ハサミの材料です。
今回は「カットシザー選び 鋼材(こうざい)編」です。
鋼の材料ということで、鋼材(こうざい)と呼びます。
つまり、
理美容のハサミって、か・な・り 硬いです。
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■ 鋼材の種類
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ハサミの鋼材にはいろいろありますが、大きく分けて4種類です。
誤解を恐れず、わかりやすさを優先させ、
軽く歴史を振り返ってみます。
古い順番に、
1.鋼。
かなりベテランの方が持っているハサミです。
「おばあちゃんが、これはいいハサミだと言われて買ったハサミだから、あなたも使えるわよ」
というハサミですね。
今は売られていないと思います。
2.ステンレス鋼
SUS・・・
440・・
とか表示されているものです。
昔の鋼というのは、すぐ錆びました。
ほんと、すぐ錆びたようで、放っておいたら2.3日で錆びたそうです。
ハサミにとって、サビは大敵です。
錆びたら使い物になりません。
ステンレスというのは、錆びないという意味です。
当時は、錆びないというだけで、すごく良いハサミでした。
とはいえ、水にずっと漬けていれば、錆びます。
3.コバルト系ステンレス鋼
・○○コバルト
・コバルト○○
・V金10○
・A○○
・粉末○○
・スーパー○○
・微粒子○○
・パウダー○○
いろいろあります。
現在のメインの材料です。コバルトが混ざったステンレス鋼です。
コバルトや他のいろいろな鉱物の合金ですね。
ステンレス鋼も合金ですが、コバルトが入っていることで、永切れするようになったと感じます。
実際永切れもすると思います
4.ステライト
・○コバルト
・コバルト
・ステライト
3のコバルト系ステンレスと混同しやすいです。
その特徴は、「コバルトが100%」とか「コバルトが50%以上とか」「さびない」「磁石につかない」「非磁性」とか
です。
この材料は、最高にいいものだ!と誇大宣伝するところがありましたが、一概には言えません。
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■ で、どれがいいのか?
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1.鋼
これがいい!と言っても、今製造しているハサミはないと思います。
恐らく問屋さんの倉庫にもないと思います。
運が良ければ、おじいちゃん、おばあちゃんが持っていると思います。
特徴は、
切れ味としては、すごくいいです!
研ぎたてのいい状態でしたら、とてもいいハサミかと思います。
ただし、すぐ切れなくなります。
包丁などには、良い材料だとは思いますが、ハサミには不向きかと思います。
2.ステンレス
この材料のハサミも少ないです。
アジア周辺国(例えば中国製など)は、この材料です。
また、30年以上前からあるハサミもこの可能性が高いです。
コバルト系に比べると、切れなくなるのが早いです。
とはいえ、鋼と比べると格段に永切れします。
柔らかめが多いので、ドライの硬い毛には不向きです。
比較的安いハサミがコレです。
もし、安いことがいいとしたら、いい鋼材です。
3.コバルト系
現代のハサミのメインです。
恐らく9割はこの材料です。
「ステンレス」のように錆びません。
「ステンレス」より、永切れします。
各社各用に細かくいろいろな名前が付いています。
違いもそれぞれ微妙に違うと思います。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑これポイントです。
ハサミとしての違いは、ホント微妙なんです。
一時期流行った、積層の模様があるのもコレです。
金色にメッキしてあるのも、剥がしてみるとこれのことが多いです。
いいか、わるいかというと、いいと思います。
というか、
大きなくくりで言うと、みんなコレですと言っても、いいと思います。
4.ステライト
切った感じがコツコツ・・・・と切れます。
ただ、これも厳密に言うとそんな感じがする気がしないでもないけど・・・
という世界です。
どちらかというと、永切れが得意な鋼材です。
“ハサミにうるさいハサミ屋さん” が、ステライトだから良いハサミというひとがいます。
そう単純な話でもないと思います。
この材料は研ぐのが難しいとされています。
永切れが得意なタイプですが、下手くそな研ぎだとすぐきれなくなります。
上手に研いでくれるひとがいれば、この鋼材は選んでもいいと思いますが、そうでない場合は避けたほうが無難です。
上手な方が研いだとして、
3のコバルト系と比べて、少し切れ味が甘めで、少し永切れします。