京都はさみ職人のレポート

シザーズテキスト 日々のお手入れはこうする!

シザーズテキスト 日々のお手入れ編

今回は最近はまっている漫画「アオのハコ」バージョンで。

淡い甘酸っぱい・・・日常の中に静かなドラマ風に仕立ててみました!

ご賞味ください!


① ハサミが届いた日(にすること)

部屋に戻ると、ポストに届いてた──。

「……あ、来たんだ」

包みを開ける手が、ちょっと震えてた。

新品のハサミ。光が反射して、まぶしいくらいだった。

 『このハサミで、もっと遠くへ行ける気がする。』

心の中で、小さくつぶやいた。

#遠くに行っちゃいなよ!

試しに切ってみた。

ネジをそっと回して、自分の感覚に合わせる。

この細かい調整が、自分だけの”いつもの感じ”を作ってくれる。

#できることならネジは自分の好みの硬さがGOODです
#すこしキツメがハサミにGOOD!

セームでゆっくりと拭きながら、

「今日からまた、よろしくね」って思った。


② 初めてのカット(のあとすること)

「じゃあ、お願いします」って言われて、ハサミを構えた瞬間。

思ってたよりも、ずっと軽くて、スパッと入った。

 『えっ、なにこれ……切れる。』

ハサミのせい? 自分の手のせい?

どっちかわからないけど、心が一気に熱くなった。

#そりゃ~自分の手のせいでしょ!
#でも切れるはさみじゃないと実力発揮でないないよね!

一人分切り終えて、

鏡に映るお客さんの笑顔が、ちょっと嬉しくて。

終わったあと、そっとセームで拭いた。

ネジを軽く締め直して、深呼吸。

「……よし、次いこう。」

#そう。
#ここでもセームで拭いてください
#拭くときはひねるように
#指を切らないように


③ 二人目のカット(のあとにすること)

なんか今日は、感覚が冴えてる。

手の動きと、ハサミの反応がぴったり合ってる気がした。

 『今の自分、ちょっとだけ信じられるかもしれない。』

カットが終わった瞬間、お客さんが

「ありがとう、すごく気に入った」って言ってくれて。

心臓がちょっと跳ねた。

こういうのがあるから、この仕事、やめられない。

セームでやさしく拭いて、

ネジをまた少し締め直した。

#くどいけど、セームで拭いた方が良いです


④ 三人目。少しだけ余裕が出てきた

カットの合間に、窓の外をふと見たら、

夕方の光がハサミに差し込んできてた。

「……キレイだな」って、思わず口に出た。

ハサミを拭く手も、ちょっと丁寧になってきた気がする。

使いながら、少しずつ自分の道具になっていく。

それが、嬉しかった。


⑤ 初日の営業が終わった夜

ふぅ……。

やっと終わった──そんな気持ち。
今日使ったハサミを、そっと拭いて、ネジを締める。

#くどいけど、セームで拭いてあげてください

帰り道、コンビニで缶ビールを買った。

部屋で一人、そっと缶を開ける音。

「おつかれ、自分」って、言ってから一口。

「明日も、うまくいくといいな」

そう願って、ベッドに沈んだ。


⑥ 2日目以降

夜のルーティンができてきた。

カットが終わったら、セームで拭いて、ネジを締めて、オイルを少し。

 『こういうの、地味だけど。けっこう好きかも。』

誰にも見られない時間。

でも、大事な時間。

ハサミも、それをちゃんと覚えててくれる気がするから。

#セームは大事
#ネジはお好みで
#オイルもお好み


⑦ 切れ味が落ちた日

なんか今日は、しっくりこなかった。

切れないわけじゃない。でも、気持ちよくない。

 『ハサミの機嫌、悪いのかも。』

カットが終わってから、机の上に置いて、しばらく見つめた。

「ごめん、ちゃんと向き合えてなかったかも」

研ぎに出すか、自分で研ぐか。

どっちにしろ、大事にしたいと思った。

だってこのハサミは、

自分の「手」として、ずっと一緒にいるから。

#自分で研ぐ
#そのときは失敗する確率が高いので、いらないハサミで実験してみて

#研ぎに出す頻度は自由。
#切れなくなったら
#3か月か、半年か、1年に1回くらいの人が多いようです

 

セームの拭き方はこちら
https://www.1hasami.com/info/semuhuku/